~卵巣がん~ ドラッグ・ラグ
欧米で開発・発売された新薬が日本で承認・発売されるまでには、約4年と非常に長い時間がかかるものです。
発売の時間差は欧米に比べると約2.5年遅く、この新薬承認の時間差をドラッグ・ラグと言います。
卵巣がん体験者の会「スマイリー」は、ヤンセンファーマ株式会社の抗がん剤「ドキシル」の承認を訴え続けています。
このドキシルは、すでに世界80カ国以上で使用されている抗がん剤で、日本でもカポジ肉腫への使用が2007年1月に承認されています。
しかし、卵巣がんに対する申請は2007年1月に行われているものの、承認はまだおりていません。
日本イーライリリー株式会社の抗がん剤「ジェムザール」は世界60カ国で承認されており、日本ではすい臓がんに対する承認はされています。
しかし、この薬もまた日本では卵巣がんに関しては未承認です。
日本化薬株式会社の「トポテカン」は世界70カ国以上で承認されている抗がん剤です。
日本では、肺がんなどに承認されている薬です。
卵巣がんに対しては2007年5月に申請が出されています。
このように、がんであっても、適応症ごとの承認が必要なため、適応部位が異なると使用ができないことも問題となっています。
ドラッグ・ラグは、費用の問題から会社が申請しないという問題、審査を担当する医薬品医療機器総合機構の審査官が少なくて審査がなかなか進まないという問題など、様々な大きな問題を抱えています。
そして、薬はあるのに、その薬を患者が使用できない、そのために家族とともに過ごす時間を縮めてしまうという悲劇も引き起こしています。
スポンサード リンク
スポンサード リンク
卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
スポンサード リンク