~卵巣がん~ 卵巣腫瘍と卵巣がん―性索間質腫瘍
卵巣は主に「性索間質(卵巣の表面を覆う表層上皮、ホルモンを作る細胞)」と、「胚細胞(卵子のもとになる卵細胞)」という組織から形成されています。
卵細胞を性索間質が取り囲み、卵胞を形成しています。
卵巣腫瘍のうち、性索間質にできる性索間質腫瘍は次のものがあります。
性索間質腫瘍は卵巣腫瘍のうち5%です。
性索間質腫瘍にも、良性腫瘍・悪性腫瘍(がん)・良性と悪性の中間の性質を持つ中間群(境界悪性)があります。
・セルトリ・間質細胞腫瘍
高分化型は良性として扱われますが、中分化型は中間群、低分化型の悪性腫瘍に分類されています。
発生した組織に近ければ近いほど高分化と言われ、反対に低分化とは発生した組織との類似点が少ないものを指します。
・顆粒膜細胞腫
中間群に分類される腫瘍です。
・線維腫
線維芽細胞(せんいがさいぼう)からできる腫瘍で、良性腫瘍に分類されています。
・莢膜(きょうまく)細胞腫
莢膜細胞からできる腫瘍で良性です。
莢膜とは卵巣の卵胞を包む結合組織の層で、莢膜細胞とは、卵胞内で性ホルモンを作り、卵子の発育に重要な役割を果たしている細胞です。
・線維肉腫
線維芽細胞からできる腫瘍で、悪性腫瘍に分類されています。
線維芽細胞とは、コラーゲン繊維をつくる細胞のことです。
このように、卵巣腫瘍は多くの種類に分かれていますが、85%は良性です。
ただし、卵巣がんは発生関連する強い要因がありません。
卵巣がんは自覚症状も少なく進行した状態で発見される事が多く、注意が必要ながんなのです。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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