~卵巣がん~ 外陰がん・腟がん
子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんは、女性の生殖器にできる婦人科がんの代表的なものです。
一般的にも耳にする機会が多いかもしれません。
しかし、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん以外の、「外陰がん」や「腟がん」は聞きなれないがんです。
外陰がんや腟がんは症例が、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに比べて圧倒的に少ないため、産婦人科医でも外陰がんや腟がんの経験がなく見落とし、発見が遅れることがあります。
腟入口部(腟の入り口)の外側にできたがんは「外陰がん」、内側にできたがんが「腟がん」です。
がんの発症年齢は高く、おおむね50歳以上です。
70~80歳の女性の発症も珍しくありません。
外陰がんのいくつかの種類の中では扁平上皮がんが最も多く、5割以上を占めます。
症状として多いのはしこりです。
外陰がんでその次に多いのが、皮膚がんの一種「パジェット病」です。
外陰がんの中で最も進行が遅く、浸潤もしにくいので、手術で治りやすいがんです。
しかし、症状がかゆみを伴う赤い発疹なので、産婦人科や皮膚科での受診でも、慢性湿疹に間違われやすく、発見が遅れることがあります。
腟がんの発症年齢も高く、若い人には少ないがんです。
症状は不正出血、おりもの、しこりなどで、この症状でがんと気付くことが多いです。
進行が早く、近接している膀胱や直腸に浸潤や転移が多いのが特長です。
膣がんには、扁平上皮がんと腺がんがあり、80~90%の大部分は扁平上皮がんです。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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