~卵巣がん~ 婦人科がん
女性の生殖器である、子宮頸部、子宮体部、卵巣、外陰部、膣、卵管などの様々な箇所にもがんはできます。
女性の生殖器にできるがんを「婦人科がん」と呼びます。
婦人科がんの代表的なものは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんです。
子宮頸がんは、性交時にHPV(ヒトパピロマウイルス)に感染して起こります。
HPVの中の特定のウイルスだけががんになることがわかっています。
HPVに感染した正常細胞が3~6ヶ月で異形成(疑似陽性の前がん段階)に進行、さらに3~6ヶ月で、一部ががん化します。
異形成段階から上皮内がん(転移のない0期のがん)で早期発見できれば、患部のみを円錐(えんすい)切除する手術で済みます。
円錐切除は日帰り手術ができて、その後の妊娠・出産に影響がありません。
子宮体がんは、子宮内膜の細胞が異常に増殖します。
外来の子宮内膜細胞診で90%発見できるがんです。
規則正しく生理のある人はまず大丈夫ですが、生理不順な人、更年期の女性にリスクがあります。
外陰がんは、診断時の平均年齢は70歳で、閉経後に多いがんです。
膣がんは婦人科がんに占める割合は1%で45歳以上の女性に発生するがんです。
卵管のがんのほとんどは卵管にはじめからできたがんではなく、卵巣がんが転移したものです。
卵巣がんをはじめ婦人科がんに限らず、がんは早期発見すれば体に負担の少ない治療を受けることができます。
定期健診はかかさず受けることが必要です。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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