~卵巣がん~ 卵巣嚢腫(のうしゅ)
卵巣の腫瘍は、良性である場合が多い卵巣嚢腫と、悪性であることが多い充実性腫瘍に大きく分けられます。
そして卵巣に液状物質が溜まり腫れている状態を、卵巣嚢腫と呼びます。
婦人科臓器に関する腫瘍では、卵巣嚢腫は子宮筋腫と並び、発生頻度の高い腫瘍です。
子宮筋腫は、子宮内の子宮平滑筋(へいかつきん)細胞が何らかの原因で筋腫が発生し、女性ホルモンの影響で成長する良性の腫瘍です。
子宮筋腫は小さいものまで含めると大部分の女性が持っているものです。
卵巣嚢腫の大きさはピンポン玉くらいのものや、大きくなるとグレープフルーツ大の大きさになります。
大きくなると茎捻転(けいねんてん)や、出血、破裂の危険性が出てきます。
ほとんど卵巣嚢腫は良性のものですが、まれに悪性のものがあるので、卵巣嚢腫が見つかった場合は慎重に良性か悪性かを判断する必要があります。
主な卵巣嚢腫の種類は下記の通りです。
・機能性嚢腫
排卵の時には卵子を入れる袋である卵胞が大きくなり、卵胞が破裂することによって卵子が飛び出し排卵が起こります。
機能性嚢腫とは、卵胞が破裂せずにそのまま残り排卵が起こらない状態です。
たいていは月経時に小さくなります。
・単純性嚢腫
中に水のたまる良性の卵巣腫瘍です。
大きくならなければ経過観察だけですが、まれに悪性のものがありますので、経過観察はかかさないようにしてください。
・成熟嚢胞性奇形腫 (せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)
皮様嚢胞腫、類皮嚢腫とも言います。
内部に骨、頭髪、歯などができる腫瘍で、次第に大きくなることが多く、そのため手術が必要となることが多い腫瘍です。
一部ががん化することがあり、経過観察が必要です。
・子宮内膜症性嚢腫
チョコレート嚢腫とも言われる腫瘍です。
子宮内膜が子宮の内側以外でできる病気であり、子宮内膜症が原因でできる腫瘍です。
卵巣に子宮内膜ができると卵巣内で月経がおこり、その血液によって腫瘍がチョコレート色に見えることから、この名があります。
このように良性の多い卵巣嚢腫ですが、まれに悪性のものや卵巣がんとなるものがあるので卵巣嚢腫であっても経過観察はかかせません。
卵巣がんから命を守るためには、定期健診や経過観察を継続的に受診する必要があります。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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