~卵巣がん~ 臨床試験
動物実験での結果をそのまま人間に応用することはできません。
動物と人間では、体の仕組みが違うからです。
そのため、実際に人にその治療法が効果あるのかどうかを確認する必要があり、その効果と安全性を確かめるために行われるのが臨床試験です。
そして、新薬を厚生労働省に認可してもらうための臨床試験は治験と言います。
新薬ができるまでには、下記のようなプロセスがあります。
1.基礎研究
天然に存在する物質・実験室などで人工的に作った物質から新しい薬の候補を選びます。
この工程に2~3年かかります。
2.非臨床試験(動物実験)
ネズミやウサギなどの動物を使い、安全性と効果を確かめます。
この工程は3~5年です。
3.臨床試験(治験)
動物実験で安全性と効果が確かめられたものを、人間でも効果があるかどうか、確認します。
この工程は2~7年かかります。
4.厚生労働省への承認申請・審査
臨床試験(治験)をもとに、薬としての認可を申請し、厚生労働省の審査を受けます。
ここで1~2年かかります。
5.薬の認可
厚生労働省の認可がおりて、薬が販売・購入できるようになります。
一方、研究者(医師)主導臨床試験という臨床試験もあります。
研究者(医師)主導臨床試験には、承認された薬・治療法・診断法の中から最も良い治療法や診断法を確立するためのものや、最も良い薬の組み合わせを見つけるための試験があります。
卵巣がんの治療を受けるにあたって、現在の最も効果的とされる標準治療や、新しい治療法である臨床試験など、自分の症状にあった治療法を医師と相談しながら選択しなければならない時代になっています。
新しい治療法が、卵巣がんに効果的かどうかは、受ける人による違いもあるため治療を受けるにあたっては、慎重に医師と相談する必要があります。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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