~卵巣がん~ 卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」
日本国内で卵巣がんに罹患する人の数は、毎年6,000人から8,000人と言われています。
それによって毎年4,000人以上が亡くなっており、2006年には卵巣がんで4,435人が亡くなっています。
近年、女性のがん罹患率が増加しているのは直腸、肺、乳房、卵巣です。
特に乳房と卵巣の罹患率の増加は1970年代から続いています。
卵巣がんは、発見されたときには進行が進んでいることが多く、転移した状態で手術を受け、手術ではすべてのがんを取りきれない場合、残ったがんを抗がん剤によって治療することになります。
このように抗がん剤は卵巣がん患者にとって治療の重要な位置にあります。
しかし、卵巣がん患者は長年にわたる抗がん剤投与により、抗がん剤に耐性を持ってしまうという問題を抱えています。
このため、卵巣がん体験者の会「スマイリー」は、卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」の承認を厚生労働省に求めています。
卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」は、2008年8月現在、世界の80カ国以上で使われていて副作用の少ない抗がん剤です。
このドキシルは2007年に作られた卵巣がん治療ガイドラインにも紹介されている抗がん剤です。
しかし、このドキシルは日本では2007年1月に申請が出されていますが、まだ承認されていません。
ヨーロッパやアメリカなど海外で開発・発売された新薬が日本で承認・発売されるまで約4年かかるといわれています。
日本での治験実施や審査など構造上の問題で、海外との新薬承認の時間差が問題とされており、厚生労働省の舛添大臣はこの承認までにかかる4年を1年に短縮することを2007年10月に公約しました。
卵巣がん患者をはじめ、多くのがん患者ががんの新薬の早期承認を持ち望んでいるのです。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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