~卵巣がん~ 卵巣と卵巣がん
子宮の両脇に一つずつあり、生殖細胞である卵子を作っている直径2~3センチのうずらの卵くらいの大きさの臓器が「卵巣」です。
卵巣は卵管(子宮の両脇から伸びている)にぶらさがる形をしています。
卵巣には卵子のたまごである原始卵胞が生まれた時から数百万個もあります。
その原始卵胞が思春期になると成熟し、約1ヶ月に1度、1個ずつ卵子になり、卵管を通って子宮に送られます。
これが排卵です。
卵巣には女性ホルモンを分泌する機能もあります。
排卵の準備をするエストロゲン(卵胞ホルモン)・黄体期(排卵後~次の月経)に分泌され排卵を抑制するプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンが分泌されます。
プロゲステロンは、妊娠前は子宮に卵子が着床しやすい状態を作り、妊娠後は赤ちゃんが成長しやすい状態を作ります。
これらのホルモンは女性らしい体を作り、健康や精神状態を安定させます。
卵巣は、このように女性にとって重要な役割のある臓器です。
そして、一番腫瘍のできやすい臓器と言われていますが、卵巣にできる腫瘍の85%は良性です。
卵巣は沈黙の臓器とも言われており、卵巣がんは自覚症状が少なく、発見されたときには進行が進んでいることが多いがんです。
卵巣がんは、家族が卵巣がんにかかっている場合には、かかるリスクの大きながんです。
卵巣がんの罹患率(=発生率)は40歳代になると大きくなり、50歳前半がピークとなります。
40歳代の女性がかかるがんの内、乳がん、子宮がん、卵巣がんが6割を占めます。
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卵巣がんの症状について述べていきます。
初期にはほとんど症状がないため、卵巣がんの2/3は転移してから発覚するのが普通です。
卵巣がんは、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプがあり、転移しにくいタイプは、腫瘍が小さいうちは子宮の定期健診などで発見されたりします。
やがて腫瘍が大きくなるにつれ、下腹部のしこりや圧迫感、膀胱圧迫による頻尿などの症状が出てきます。
そういった異常に気付いてエコー(超音波)検査を受け、卵巣がんの早期発見につながることがあります。
転移しやすいタイプの場合は、まだ卵巣内であまり大きくならないうちでも転移してしまいます。
腹水でおなかが膨れ、胸水の影響で息切れするなど、転移によって起こる症状が出て初めて異変に気づくことが多いです。
卵巣がんの転移の中でも一番多いのは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。
がん細胞が、卵巣の表面から腹膜にかけて広がります。
腹膜播種は卵巣付近に限らず、卵巣から一番遠い腹膜の横隔膜にまでよく見られます。
がんが横隔膜から胸腔内に広がると胸水がたまり、リンパ節に転移すると腹部大動脈の周りのリンパ節や骨盤内のリンパ節が腫れ、次第に胸や首のリンパ節へも広がるケースがみられます。
転移しないタイプの卵巣がんは手術だけで治療できる一方、転移するタイプの場合には手術と併行して化学治療も必要になります。
診察やエコーで腫瘍が見つかっても、まだその時点では良性・悪性かは判断できず、画像診断や腫瘍マーカーを用いて判断されます。
画像診断の際にはエコー検査、MRI、CTなどが行われます。
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